色楽雪音 〜ゆきねの日記〜

広島で在宅Web仕事しながら日々の徒然を書いていたけど、2013年夏にアラフォーで初出産、以降育児日記中心に。2017年春に旦那の転勤で福岡に移住し、相変わらずパートでゆるゆるワーママ的生活をしている。

ブラック企業の辞め方

最近ブラック企業の話題をよく目にする。

⇒ ブラック企業、嫌なら辞めれば? - ihayato.書店

⇒ ブラック企業大賞は他人事じゃない! ブラック企業から身を守るための傾向と対策 | ダ・ヴィンチ電子ナビ


実はサービス残業も個人を犠牲にした企業への滅私奉公も昔から普通にあったことだけど、最近某飲食系サービス業で自殺者が出たり、そこの社長の超ブラック発言が拡散されたりして話題になってる。

 ブラック企業なんて辞めりゃいいじゃん(by ホリエモン

という単純な意見もあり。

そもそも、ブラック企業の定義って何?
そして、仮に自分がそれに当てはまる環境にいるとわかって、本当に辞めたいと思う?


かつて私はそういう会社に勤めてた。当時はブラック企業なんて言葉はなかったけど、今思えば明らかにそれだと思う。毎日終電は当たり前、毎週休日出勤アリで残業代や休日手当ゼロ。会社の業績によってボーナスはあったりなかったりで、あっても0.5ヶ月分。月給も少なかったけど幸い当時は実家から通えたので生活には困らなかった。

私が入社した当時、その会社は設立2年目のベンチャーで社員は自分を入れて5人。まさにこれから成長していこうという意気込みのある会社だったけど、同時に何もかも自分達でやらなければいけないハードさがあった。私の仕事はWebサイト制作と編集だったけど、取材から撮影から請求書発行、企画書作成、お茶出し、掃除、ユーザーサポート(電話&メール)、なんでもやった。営業と人事総務経理以外は。毎日がめまぐるしく忙しくてあっという間に時間が経つ。平日は寝に帰るだけだけど、徹夜明けで朝着替えだけに帰るときはさすがにキツかった。でもそういうものだと思ってた。会社が大きくなって安定するまでは、みんなで無理して助け合っていくしかないと。

やがて徐々に社員数は増えたけど、辞めていく人も多かった。精神的に病んで失踪しちゃった人もいた。一番の問題は社長や部長が毎日深夜まで会社にいたことだと思う。彼らはそういう働き方を苦にせず、部下に同じ事を強要したわけではないけれども、22時から打合せが始まってその結果を踏まえて部下が翌日までに資料を作る、みたいな流れが普通になってた。毎回の会議が長く時間の無駄も多かった。社員が古いスペックで動作の遅いノートパソコンを使い続けているのに顧客への接待の回数が多く、経費の使い方にもかなり疑問を感じてた。社長がワンマンというわけではない、ただこの会社は経営効率が悪いのではないかと思い始めたけど、自分に経営の知識があるわけではないのでうまく言葉にできなかった。

効率が悪い環境で自分のエネルギーを無駄にしたくない。2年半在籍している間に私はプライベートを犠牲にしすぎて、友達がほとんどいなくなってた。もちろん彼氏もいなかった。これ以上ここで自分をすり減らす前に辞めようと決心。同時に経営の勉強も本気でしたいと思った。社長に、経営とマーケティングの勉強を本格的にしたいので退職する旨を伝えたら予想通り引き留められて、会社にいながら学校に通うなりしなさいと、好きな時間に抜け出したり帰ったりしていいから、会社には残って欲しいと言われた。給料アップも言われた。実際MBAの学校に申し込む準備もしてたし、辞める意志が固いことをアピールしたらようやく社長は諦めて、時期の交渉になり、後任の社員を募集して引き継ぎが済んだら退職ということになった。幸い外部から後任の社員を採用でき、無事引き継ぎして辞めることができた。ちなみに私の後を継いだその男性は、何年か頑張った挙げ句に家庭崩壊し精神も病んで辞めていったらしい。

その後のことはともかく、私は限りなくブラックに近い企業を円満退社できた。次の仕事もすぐ見つかったし、タイミングもよかったと思う。とにかく見切りをつけたら鉄の意志で早く行動すること。体や精神を病んでしまったらまわりにも迷惑をかけ、自分自身の回復も遅くなる。
でもそこにいるときの経験は自分の血肉になった。ストレス耐性は上がったし自分の限界もわかった。いろんな仕事の経験を自分のウリにして転職やその後の仕事に役立てることもできた。まだ若くて余裕があるときにがむしゃらに何かに取り組む経験をしておくと、その後の人生でも挫折をしにくいと思う。たぶん。

スタートアップの企業にいる人や新規事業を立ち上げつつある人は、ワークライフバランスなどとは無縁なはず。その後軌道に乗れるかの重要な局面にあるわけで、またその状態を楽しみながら、早朝から深夜までの仕事をこなす人も多いと思う。そうではなく、やらされてると感じたり大きな犠牲を払わされてると感じるなら辞めたほうがいい。結局自分にとって何が大事か、その仕事が好きか。ブラック全てが悪いわけでなく、見方や定義の問題だと思うんだ。